第50回衆議院選挙 TikTokアカウント調査③ 新勢力が議席を伸ばす

新勢力が議席を伸ばす

第50回衆議院選挙は自民党が56議席を減らして大敗し、公明党をあわせた与党で過半数(233議席)に届かない結果となりました。一方、立憲民主党や国民民主党、れいわ新選組などが大きく議席をのばしました。

今回の衆議院選挙はインターネット、主にSNSによる選挙活動に注力した政党が、大幅に議席を増やした結果となりました。都知事選挙の石丸伸二氏、総裁選の高市早苗氏の大躍進を実現させたと同様の手法が、再び選挙戦において効果を発揮したと言えます。この手法はすでに米国の大統領選挙戦においても、両党において駆使されており、今後はこうした活動が政治活動において必須となることでしょう。

TikTok各政党の選挙後のフォロワー数

衆議院選挙を終えた10月30日(水)時点でのTikTokの各政党の数値をまとめてみました。過去2回、選挙前と選挙中、そして選挙後の数値を見る限りでは「フォロワー」という点で立憲民主党以外は、その伸び率と獲得議席数において、相関関係があると思われる結果でした。特に国民民主党とれいわ新選組が、議席を大幅に伸ばしていること、TikTokアカウントにおいて注力していないと思われる自由民主党と日本維新の会が、議席を減らしています。もちろんここに因果関係があるとは、言い切ることはできませんが、国民民主党とれいわ新撰組が、若者層を中心に獲得票を増やしていることなどからも少なからず影響があったのではないでしょうか?

TikTok政党アカウント

今のSNSはフォロワー数は意味がない

 今回の調査では各政党のTikTokのフォロワー数を確認しました。しかし、過去のSNSと違い、フォロワー数やシェア数(リツィートなど)はあまり意味をなしません。TikTokやYouTubeショートなどのプラットフォームにおいては、いかに有権者にとって賛同を得られる、心に響く、共感を呼ぶ「コンテンツ」であるかが、重要になります。有権者、市民に賛同を得られた「コンテンツ」は、各プラットフォームのアルゴリズムによって、賛同共感を得られるだろう有権者、市民に配信されていきます。この仕組み(アルゴリズム)こそが「コンテンツマーケティング」を影響力のあるものにしているのです。

政党大躍進の手法を企業マーケにも〜立ちはだかる課題

 既存の大政党がそうであるように、日本の大手企業の多くもこの手法をいまだに取り入れていません。一方でショート動画を活用している広告主を見ていると新興成長企業が目立ちます。まさにこれは選挙戦と同じ傾向です。大手は古い手法の成功体験にとらわれたままで、新しい手法に尻込みしている状況なのです。
 ここで大手企業がショート動画、SNSを取り組まない理由を挙げてみます。デジタルマーケティングの現場で感じたことをまとめました。

①炎上リスク
SNSは広くオープンなプラットフォームであるため、コンテンツや商品サービスなどについてクレームなどが書き込まれ、炎上するリスクを抱えるという理由。
②クリエイティブポリシー
 クリエイティブの承認ポリシーが厳格であるため、量産型のショート動画マーケティングにおけるクリエイティブを審査できる体制が作れない。判断できない など。
③縦割り組織
 SNSはサイト制作のような企業情報発信、広告目的のコンテンツ、またユーザーへの顧客対応などが必要とされるため、日本の縦型組織、例えばサイト制作は情報システム、広告は宣伝マーケティング、顧客対応はお客様相談室などと縦割り組織のため、関与部門が複数に渡るために意思決定、戦略策定などが難しい。それ以外にもマーケティング組織にプロフェッショナルな組織長が存在しないなど。

選挙を終えて、新しい政治体制、国家体制がスタートします。先進国の中で一人負けを喫した日本が、成長するためにも、古い政治、古い組織、古い手法を改め、挑戦していく気概が必要です。政治だけでなく、企業も同様に新しいものへ挑戦する意欲ある企業が、現代型マーケティングを受け入れ、事業成長していくことでしょう。

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