24年8月、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社が新たにアメリカの大手美容製品小売チェーン「アルタ・ビューティー」Ulta Beauty, Inc.(NASDAQ: ULTA)に投資したことが明らかになりました。ウォーレン・バフェット氏の投資スタンスはポテンシャルのある成長企業に対する長期投資です。熱狂的なファンによって支持され、持続的な成長を実現している「コカ・コーラ」や「アップル」などへの投資によって成功を収めています。同じく化粧品ブランドの「Tarte(タルト)」が現代の若者の心をとらえるコンテンツマーケティング、ファンマーケティングによって成功を収めてきました。「Tarte(タルト)」のインスタグラムは世界で1000万人以上ものフォロワーを抱えて、積極的なショート動画リール配信を継続しています。大手化粧品ブランドにありがちな、理想のモデル像が当たり前のように美しく化粧をする姿ではなく、等身大の女性たちや男性たち、すべてのジェンダーに対して着飾ることなく、自然な姿をコンテンツの核として、高エンゲージメントなコンテンツを配信し続けています。
「アルタ・ビューティー」社について
ウォーレン・バフェット氏が新たな投資先として、長期的な成長、持続的な成長ポテンシャルがあると判断した「アルタ・ビューティー」社とは、どういう会社なのでしょうか?この会社は化粧品、スキンケア、ヘアケア製品、フレグランス、そして美容ツールなど、さまざまな美容関連商品を幅広く取り揃えています。また、店内には美容サロンも併設されており、ヘアカット、ヘアカラー、メイクアップ、フェイシャル、眉のスタイリングなど、さまざまな美容サービスを提供しています。売上構成比率は化粧品42%、スキンケア23%、ヘアケア19%、フレグランス10%、その他6% です。アルタ・ビューティーの特徴は、自社ブランド、ドラッグストアブランドから高級ブランドまで、幅広い価格帯の商品が一堂に揃っていることです。これにより、あらゆる予算や好みに対応できる点が、多くの顧客に支持されています。加えて、オンラインストアも運営しており、オンラインでのショッピングや商品のレビュー、店舗での受け取りなどのサービスも利用できます。店舗数は24年度第一四半期時点で、全米1395店舗を展開しています。23年度の売上が112億ドル、営業利益16.8億円。コロナ禍には大幅な売上利益減であったものの、その後順調に回復、21年以降増収増益を続けています。
アルタ・ビューティ決算情報(外部リンク)
「アルタ・ビューティー」コンテンツ戦略
では早速、彼らのコンテンツ戦略を各プラットフォーム別に見ていきましょう。
すべてのアカウントにおいて非常にすぐれたコンテンツ戦略を展開しています。
改めて言うまでもなく、ここ数年コスメ業界における最も売上貢献の高いメディアはショート動画メディアです。ロレアルやタルトなどSNSショート動画による成功事例があまりに有名です。「アルタ・ビューティー」も積極的にSNS,ショート動画を活用しています。
急成長「アルタビューティー」TikTokアカウント
「アルタビューティー」TikTokアカウントの24年8月18日現在のフォロワー数は120万人。コスメ小売で競合のセフォラが150万人フォロワーであるため、TikTokに関しては両者で凌ぎを削っている現状です。投稿頻度は1日に2〜3本投稿されており、エンゲージメント率も非常に高い数値を示しています。
日々の投稿の中の多くが、TikTokプロフィールのリンクから中間ページをはさみ、ECサイトへ誘導する仕組みになっています。ページを間に挟むことで離脱率は上がるものの、TikTokのコマース機能の強化に備えることを考えれば、こうしたTikTokからのショッピング体験をさせることは非常に重要です。TikTokはカスタマージャーニー(当社はフィリップコトラーの5Aカスタマージャーニーを引用しています。)上で「認知」「訴求」「調査」に大きな貢献をもたらしています。競合のセフォラは、トッププロフィールからのリンクはECに直接リンクさせています。この点においては、TikTokで取り上げられた商品を、中間ページを挟むものの、当該商品のECページを飛ばすアルタビューティーの方が顧客体験上においては、リードしています。
アルタビューティーは、コンテンツに対するユーザーのコメントに対しての返信も、短時間で行なっています。こうしたブランドからの返信は、アメリカ企業には非常に多く見受けられます。競合のセフォラやブランドのタルトもTikTok上でのコメント返信を実施しています。当社はこうしたコメント返信を強く推奨しています。
ソーシャルメディアで、ブランドとインタラクションすると顧客の約90%がブランドを実際に推奨する
(英国IAB調べ)
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