日本におけるTikTokの大きな変化は、平均視聴時間の拡大、年齢層の拡大とユーザー課金の普及です。そして期待されるのは米国アジアなどで人気のTikTokコマース、ASEANではShopeeなどの既存ECのシェアを奪い、アメリカではアマゾンとの連携も。
最近「TikTokコマースって何?」「日本でTikTokコマースはいつ始まるのか?」という声が多く聞かれます。TikTokコマースという表現だけではなく、TikTokECとかTikTokショッピングとか、人によって名称も様々あって、少し混乱しがちですが、TikTokは彼らのコマースサービスを「TikTokコマース」と表現していますので、ここでは「TikTokコマース」と表記します。
この「TikTokコマース」は、その顧客体験、ブランド体験において今までのECとは異なります。私たちが掲げるCXマーケティングとは「ロイヤリティマーケティングやコンテンツマーケティングなどの手法によって、生活者とブランドとの良質な顧客体験を増やすことで、その距離を縮めファン化、ブランドの持続的成長を目指す取り組み」と定義づけました。「TikTokコマース」はこのCXマーケティングをベースとした、新しいECの形態であると考えています。
しかし、24年の9月現在、日本ではまだTikTokコマースはサービス提供されていません。現時点ではASEAN諸国とUK、およびUS で展開されています。近い将来、日本での展開も当然、期待されるところです。日本で人気を爆発させているTikTokとECが同じUXで展開されるとなれば、今から準備すべきでしょう。
一方で、日本では注文や配送において、すでに優れたCX顧客体験を提供するAmazonが普及しているため、TikTokコマースは難しいのではないかという意見もあるかもしれません。しかし、先月、アメリカでTikTokとAmazonの提携が発表されています。TikTokのアプリの中でアマゾンサービスがワンストップで提供されるというUXは非常に魅力的です。プラットフォーマーのユーザーからの収益シフトが進む中、これは当然の提携とも言えます。競合企業とのシェア争いの中で、強者連合が生まれるのもネットワーク社会では必然でしょう。
TikTokが提供するTikTokコマース(日本未展開)
TikTokコマースとは何かについて、TikTokの公式サイト「TikTok Commerceについて」にはこう記述されています。
『TikTok Commerceとは、ブランドが顧客へエンゲージメントするために利用できる、ソリューション、機能、広告ツールのプログラムを指します。TikTok動画、TikTokでのLIVE配信、プロフィールページの商品ショーケースタブで商品を販売することができます。注:TikTok Commerce(旧称:TikTok Shopping)とは、特定のマーケットおよびプラットフォーム限定で利用可能なプログラムです。』
そしてこのサイトにはTikTokコマースには二つの種類があると記載されています。
1.ショップ広告
2.TikTokShop
です。
さらに2.TikTokShopには「TikTok Seller Center」と「Affiliate Center」の二つがあるようです。
まずは実際に、アメリカのTikTokコマースの画面を見ていただきましょう。
これはTikTokerのライブ配信の画面です。ライブ中に商品を紹介し、その商品の紹介ページへの遷移と、そして決済の画面です。
これはTikTokコマースのアフィリエイトプログラム「Affiliate Center」です。自らECサイトを運用せずとも、アフィリエイトとして、商品を紹介して、販売されれば、収益を得るモデルです。
もう一つが「TikTok Seller Center」です。
サイトにはこう記載されています。
「TikTok Seller Center:TikTok Shopの開始と管理におけるエンドツーエンドソリューションを提供するワークステーションポータル」です。これは自社で、例えばShopifyでECサイトを構築していれば、TikTok上で手続きをすることで、TikTokのアプリ内で自社の商品紹介、そして決済までもワンストップで提供できるというものです。しかし、残念ながらまだ日本ではサービス提供されていません。現時点ではインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、イギリス、アメリカ、ベトナムでの提供となっています。こちらにTikTokセラーセンターの登録の方法が記載されていますが、下記のビデオで実際のTikTokとShopifyの登録までの流れを確認することができます。
TikTok+自社ECなら今からでも始められる
日本でのTikTokコマースのサービスが展開される前でも、自社のTikTokのアカウントを立ち上げ、販売する商品やEC販売主のビジョンや日常を動画で投稿しながら、ブランドのCX顧客体験を向上させ、自社のECへ誘導し、売上を上げることができます。
TikTokの自社アカウントでの商品情報の発信や販売主の素顔や現場を動画で定期的に発信し、新規獲得と、既存顧客のロイヤリティを上げて、自社ECで販売するのです。SNS+自社ECという、従来からある手法ですが、TikTokの世界観やユーザーの趣向などをしっかり把握して、TikTokをEC販売に有効利用することが重要です。
TikTokコマースのサービス開始されてからでは遅すぎます。ご存じの通りTikTokでエンゲージメントを得るコンテンツがどういったコンテンツであるかは、多くの動画コンテンツにチャンレンジ、トライ&エラーを繰り返して、お宝のコンテンツを見つけることができます。そのためにも、今からTikTokアカウントを開設し、どうすればエンゲージメント(共感と理解)を得られるかの知見を蓄積することで、再現性の高いコンテンツを作り、ECにおける重要なチャネルを作り上げましょう。
次回のブログではTikTokとECを展開する、人気のECサイトを紹介していきます。
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