「オペレーショナルなCX」と「エモーショナルなCX」

顧客体験CXについて考える

ITの進化によって、私たちはブランド製品・サービスの「合理的な価値」以外にも「デジタル顧客体験CX(Customer Experience)」を通じて、様々な「感情的な価値」を受け取っています。ブランドは生活者と多くの接点を作り、ブランドのビジョン、世界観を伝えることができます。「デジタル顧客体験CX(Customer Experience)」には大別して二つのCXが存在します。この二つの視点でCXの取り組みを進めましょう。

「オペレーショナルなCX」と「エモーショナルなCX」

・ルールベースで駆動する「オペレーショナルなCX」

・感情を高め、ブランドへのロイヤリティを高める「エモーショナルなCX」

お客様へデジタル顧客体験をもたらす接点を提供する上で、二つの側面でCXを考えてみましょう。ひとつは正しいオペレーションの元で、主にルールベースで駆動し、それによってブランドとの信頼関係を構築する「オペレーショナルなCX」です。商品購入後にフォローメールを送る、などが代表的です。
ふたつ目はプラットフォーム(SNSやYouTubeなど)上のクリエイティブによって感情を高め、ブランドへのロイヤリティを高める「エモーショナルなCX」です。SNSからブランドの心揺さぶるストーリーが届けられたことはありませんか?
この二つのCXは、ともにブランド(企業)の持続的成長のために欠かすことはできません。これらを双方をしっかり構築することによって、生活者はそのブランドの商品サービスを理解し、購入し、信頼し、推奨者へと向かわせるのです。この二つのCXがカスタマージャーニー上で連携し、互いにノウハウを共有することで、さらに高度なデジタルCX顧客体験を実現できます。

オペレーショナルなCXとエモーショナルなCX

右上の円グラフは、「オペレーショナルなCX」と「エモーショナルなCX」の生活者が実際に体験する時間のイメージを表したものです。(これは筆者の体感値です)オンライン金融やオンラインで完結するサービスなどは、「オペレーショナルなCX」時間が多いかもしれませんが、ほとんどのブランド企業の場合は、「エモーショナルなCX」時間が多い、あるいはより多く創造できるはずです。
海外企業と比較すると多くの日本企業は「オペレーショナルなCX」の取り組みは進んでいるものの、「エモーショナルなCX」への取り組みが欧米企業と比較すると少ない傾向にあります。


「エモーショナルなCX 」欧米企業事例
Wバフェット氏が新たに投資、米国「アルタ・ビューティー」のコンテンツ戦略
 投資の神様、ウォーレン・バフェットがApple株を売却し、新たに投資した先が「Ulta Beauty」社。アメリカのコスメ小売チェーン大手。同社は積極的にコンテンツを配信し、「エモーショナルなCX」で顧客との接触時間を増やし、広告費を使うことなく売上利益を拡大させています。
購入前後のユーザーをコンテンツで囲い込む、米国「Jackery」のデジタル体験
 先進的な家電・精密機器企業は「エモーショナルなCX」を提供し、製品の認知と啓蒙を続けています。ポータブルバッテリーの歴史は浅く、また競合企業も多い中で、米国のJackery社が取り組んだコンテンツ戦略とは?


ルールベースで駆動する「オペレーショナルなCX」

まず「オペレーショナルなCX」について、Pコトラーの提唱する5Aのカスタマージャーニー(下図)に沿って、説明します。
まずはブランドを知る「認知(Aware)」のフェーズです。インターネット上のデジタル広告でブランドのことを伝えることができます。デジタル広告のターゲティング設定、入札価格、クリエイティブの入稿から配信まで、主にインターネット広告代理店の正しいオペレーションによって実行されます。広告からブランドを認知したユーザーは、ホームページ上でブランドからの商品説明を受けることになります。これは「訴求(Appeal)」の段階です。広告の商品や訴求内容が、ホームページ上で正しく表現されているか、実行されているかが大切です。広告からのLP(商品解説ページ)が、広告を見た人の関心事項を押さえているか? またホームページで訪問ユーザーを正しくナビゲーションできているか?などホームページ内のオペレーションが重要になります。またホームページだけでなく、比較サイトや口コミサイトなどにおいても正しくブランドや商品の説明が出来ているか?などの外部情報サイトのオペレーションも欠かすことはできません。また実際の購買行動(Act)において、商品選択からカート移動し決済までの導線設計とユーザビリティ、購入後の問い合わせ対応(メールやコールセンター)そしてその後の継続的な関係のためのCRMも、精度の高い「オペレーション」が求められます。その他最近では、DMP(Data management platform)によるルールベースのCX向上施策においても、高度なオペレーション力が求められています。これらオペレーションをともなうCXを「オペレーショナルなCX」と定義しています。

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