「SHOGUN」エミー賞受賞で益々加速する二極化現象

SHOGUN エミー賞

今年話題になったNetflixの「地面師たち」に続いて、ディズニー+(プラス)配信の「SHOGUN」がエミー賞を総なめしたことで、日本のコンテンツプロバイダーはサブスクリプション型のネット配信モデルへのシフトが進むことでしょう。動画視聴は、有料課金の動画を「じっくり視聴」するか、スマホでさくさくとショートビデオから情報を入手する「タイパ視聴」の二極化が進みます。

「SHOGUN」は米作家ジェームズ・クラベルの1975年の小説が元になっています。徳川家康をモデルにしたという、武将・吉井虎永が敵対する大老たちと戦いながら天下を目指すストーリーです。日本に漂着した英国人航海士やその通訳女性など多彩な人物が物語にからみ、重厚な戦国絵巻です。作品は米ウォルトディズニー傘下のFXが最新のVFX(視覚効果)を駆使し、リアリティーのある作品に仕上げています。配信開始から6日間で900万回の再生を記録するヒット作となりました。米国でも先にヒットした韓国の「イカゲーム」から、現地言語と英語字幕で視聴するという習慣がついたことも、今回のヒットにつながったようです。

ネットフリックスやディズニープラス、そしてアマゾンプライムビデオなど、有料課金型サブスク定額型のコンテンツ視聴は、今回の成功をもとに益々魅力的なコンテンツを提供することでしょう。こうしたサブスク型コンテンツ配信が今後も成長し続ける理由としては、今までも下記のような理由が存在したのではないでしょうか。

・サブスク型の課金モデルであるため、チャーンレート(解約率)などの試算をベースに事前に事業収益を予測できるため、配給して初めて収益がわかるような博打型の過去の映画制作よりも、制作コストの算出がしやすくなった。
(2024年第2四半期時点でのネットフリックス(Netflix)の有料会員数は、前期比で800万人以上増え、約2億7,765万人 これらの会員数からの安定的な収益を元に、莫大な制作費をかけられます。)

・オンライン配信のため、動画の視聴データをリアルタイムで入手できることで、作品における離脱ポイントや、魅力ある場面を把握することができ、次の作品に活かすことができます。
・登録ユーザーの視聴データを保有することで、正確なパーソナルレコメンデーションが可能になり、サービスからの離脱防止ができます。(ご存知の通り、番組表から見たい番組を探す必要はなく、個人個人のTOP画面に過去の視聴履歴を元にしたお薦め作品を提案しますね)

上記に加えて、
・日本や韓国などのコンテンツプロバイダー(映像制作)が、今までは自国での視聴と限定されていたものが、全世界で十分成功できるという裏付けを元に、映画(リスク高い)やテレビ(低制作費・テレビ離れ)という既存形態ではなく、「全世界対象サブスク有料課金」モデルに向かうことでしょう。

生活者が、従来型のテレビではなく、「じっくり視聴型」の有料課金型のモデルへシフトし、一方で限られた時間の中で効率よく情報を取得するために、TikTokやInstagram、YouTubeショートなど「タイパ視聴型」へのシフトは益々加速するでしょう。
そうした状況で、どうすれば生活者にブランドメッセージや商品情報を伝えていくかが、これからのマーケティングにおいて重要でしょう。CXマーケティングは、あらゆるデジタル顧客接点を活用し、ブランドと生活者をプラットフォームで繋ぐ新しいマーケティング手法です。

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